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コラム
- 準拠法・紛争解決条項
「準拠法」、「紛争解決方法」についての合意 【問い】 海外の相手方と契約書を適用する場合、そもそも、その契約書には、どの国の、どのような法律が適用されるのでしょうか。 また、もしも相手方との間で紛争が発生することを想定し […]
2020.06.26- 言語条項
【契約書で使用する言語について】 【問い】 当社は、中国企業に対して、当社の製品を販売することを計画しています。 当社は、米国企業と英語で「売買契約書」を締結したことがあるのですが、今回も、同様に「英語での売買契約書」を […]
2020.06.26- 契約書の重要性
契約書の重要性 【なぜ、契約書が必要であるのか】 「取引相手とは、明確な契約書を締結しておきましょう。」このようなことを言うと、「何を今さら・・・」と思われるかもしれませんが、次のような事例が、典型事例です。 事案1 知 […]
2020.06.26
契約書の重要性
【なぜ、契約書が必要であるのか】
「取引相手とは、明確な契約書を締結しておきましょう。」このようなことを言うと、「何を今さら・・・」と思われるかもしれませんが、次のような事例が、典型事例です。
事案1
知人から某国の工場を紹介され、製品を購入してみたところ、良い品を提供してくれた。
そのため、次は大型の発注を行うこととし、まとまった代金を事前に送付したら、以後、連絡が取れなくなってしまった。
対策
典型的な取込詐欺事案ですが、特に相手方が遠方に所在している海外の案件では、「よくあること」といわざるを得ません。
買主としては、「相手方(売主)から商品を発送してもらってから、代金を支払うこと(代金後払いの約束)」が望ましいといえます。
一方で、相手方の立場からすると、「製品の製造にはコストがかかるので、少なくとも代金の一部は、前払いして欲しい。」、「製品を外国に発送してからの代金受領となると、約束どおり代金を支払ってもらえるのか、不安がある。」という当然の要望があります。
そこで、本件のような場合、具体的には、「相手方との協議の結果、代金の半額を事前に送金することにした。」等の「代金支払い時期についての合意」をしておくべきであったといえます。
事案2
某国の法人と、「発注書」と「請書」を交わしていたが、相手方の提供した書式にそのままサインしていたところ、相手方が提示した書面の裏面に、相手方の国の言葉で、詳細な契約条件が記載されていた。
(例:相手方が提示した書類には、中国語で「当事者間での紛争は、CIETACにおいて、その仲裁規則に従って、中国北京市で仲裁する。」と、書かれていた。
ある日、突然に海外から、中国語の文書が送付され、「中国での仲裁」を提起された。
その後、これを無視していたため、後日、当社に対し、相手方への一方的な支払いを命じる内容の「仲裁裁決」が送付された。
その上で、日本で強制執行手続を申し立てられ、当社の取引先銀行の預金を差し押さえられてしまった。)
対策
契約書にサインをする際は、「内容を確認した上でサインすること」が必要です。
すなわち、「理解できない言語で記載された書面」には、基本的にサインしてはいけません。
これも「当たり前のこと」ではあるのですが、この事案のように、「相手方に一方的に有利な内容で契約を締結してしまうこと」は、回避すべきです。
〇「契約書」を締結する目的
たとえば、「自社の製品を、相手方に販売する場合」であれば、最低限度のこととして、事前に相手方と協議した上で、
「どのような製品を」(目的物の特定、品質の特定、数量の特定)
「いつまでに」(引渡・検収の期限・条件の特定)
「いくらで」(金額、通貨、支払時期・方法の特定),
「どのような保証条件で」(保証責任、担保責任、製造物責任)
「売る」(所有権移転時期、危険の移転時期)
のか?
を特定する必要があります。
〇 そして、特に「海外の相手方との契約書締結」であれば、さらに「準拠法」、「紛争解決方法」、「契約書の言語」等についても、明記しておくべきです。
〇 なお、取引を開始する際には、当然のこととして、相手方の実存、素性、信用状況等についても確認しておくべきです。
実際のところ、日本企業が海外企業とトラブルになるのは、
「言語が違うこと、相手方が遠方であることによる、相手方とのコミュニケーション不足」
「日本の慣行と、相手方の慣行とが異なることについて、理解できていなかったこと」
等の「コミュニケーション・ギャップ」が、大きな原因を占めるといえます。
したがって、「相手方の実存、素性、信用状況等を事前に確認しておき、理解すること」と、「事前に専門家と相談しておくこと」は、防衛策として、非常に有効といえます。
弊所は、一般法務(相続、離婚、債務整理、交通事故等)だけではなく、20年間以上の大阪、東京、中国(北京、上海等)での経験に基づき、「中国法」、「企業法務」を専門とする弁護士(加藤文人)が対応します。