中国語契約書作成・交渉の分野で20年以上の実務経験のある国際弁護士が在籍

コラム

言語条項

【契約書で使用する言語について】

【問い】

当社は、中国企業に対して、当社の製品を販売することを計画しています。

当社は、米国企業と英語で「売買契約書」を締結したことがあるのですが、今回も、同様に「英語での売買契約書」を締結することで、よいのでしょうか?

 

【ご回答】

日中間での売買契約書であれば、「英語で契約を締結する必要性」は、ありません。

私は、下記の【サンプル条項】のように、お互いの母国語である「日本語及び中国語で契約書を締結すること」をお勧めします。

 

【サンプル条項:言語】

「第〇〇条 言語

甲及び乙は、本契約書を日本語及び中国語で、それぞれ作成し、いずれも正本とする。ただし、両言語版で解釈等につき相違が発生した場合は、日本語版に従う。」

 

【解説】

会社様の事情によりますが、例えば「当社は、英語圏の企業との取引が多く、英語をできる人材は多いのですが、中国語については得意ではありません。中国企業であれば、英語ができる人も多いので、お互いにとって第三国の言語である英語で契約書を締結したいです。」、「相手方は、欧米やアジアにもグループ企業があるので、英語で統一的に契約書を締結したいとの要望を受けています。」等の場合があります。

もっとも、そのような「お互いにとって第三国の言語で契約書を締結すること」は、シンプルな契約書であればともかく、「双方において、誤解等が生じる可能性」が否定できません。

何よりも、「将来に、当該契約書に基づく紛争を中国や日本で解決し、強制執行する場合」を想定すると、中国においては「中国語に翻訳した契約書」、日本においては「日本語に翻訳した契約書」が、いずれにせよ、必要となります。

したがって、「将来に向かっても、実効性のある契約書」を締結するのであれば、あえて第三国の言語を使う必要性はなく、お互いの母国語である「日本語及び中国語で契約書を締結すること」が、最も適切と考えます。

 

* 日本の「民事訴訟規則」第138条1項

「外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求める部分について、その文書の訳文を添付しなければならない。」

* 中国の「民事訴訟法の適用に関する解釈」第527条1項

「当事者が人民法院に提出する書面の資料が外国語である場合、同時に人民法院に中国語翻訳文を提出しなければならない。」

* このサンプル条項は、

「日本語版、中国語版のいずれも正本とする。ただし、両言語版で解釈等につき相違が発生した場合は、日本語版に従う。」とすることにより、「日本語版を事実上の正本とすること」を図るものです。もっとも、相手方との力関係により、「中国語版に従う。」となることや、「中国語版を正本とし、日本語訳を付する。」等とすることもあります。

* 私は、このような契約書の作成については、「まず、日本語版を作成し、ご確認いただいた上で、中国語版を作成すること」としております。

具体的な金額は、「契約書の内容、分量」等により、事前に「見積書」をご提示いたします。

 

弊所は、一般法務(相続、離婚、債務整理、交通事故等)だけではなく、20年間以上の大阪、東京、中国(北京、上海等)での経験に基づき、「中国法」、「企業法務」を専門とする弁護士(加藤文人)が対応します。

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